赤字から黒字になるために必要な数字感覚

こんにちは。中小企業診断士事務所Runaccの香月です。
今日はこれまでの金融機関での経験と、財務部門での経験をもとに、

「中小企業、個人事業主の方でも容易に考えれる、黒字化に必要な数値感覚」

について取り上げたいと思います。

(1)固定費・変動費の考え方

まず、自社(事業)の収益を把握するために必要なこと、それは、

「売上ー費用」=「利益」

です。「こんなこと、だれでもわかるよ!」という声が聞こえてきますね、、、(笑)

では、費用については様々なものがあると思いますので、少し分解してみましょう。

「費用」=「固定費」+「変動費」

これはどうでしょうか。あまりこのような考え方をしたことがないかもしれませんが、
ここで出てくる「固定費」「変動費」を把握することは、
収益を把握する上で最も重要かつ、すぐに実践できる内容なのです!

もう少しイメージがつくように、固定費と変動費を説明します。

固定費:売上が上がっても上がらなくても常に発生する費用
(家賃、人件費、水道光熱費などが該当します)
変動費:売上の増減によって金額が変動する費用
(商品の仕入代金、材料費、外注費、運賃などが該当します)

まず、この固定費と変動費を分けることから始めます。
既に確定申告、決算期を経験している事業者の方は、一度は自身の収支の結果をご覧になっているかと思います。
まずはその収支(損益計算書)から、科目ごとに固定費と変動費を振り分けて、合計額まで算出してみます

(2)実例で理解してみる

(例)

 ・売上   800万円
 ・固定費
   人件費 300万円
   家賃  100万円
   ●●   ・・・
   合計  500万円
 ・変動費
   仕入  200万円
   材料費 100万円
   外注費  50万円
   運送費  50万円
   ●●   ・・・
   合計  500万円
 ・利益   -200万円

上記の例の場合だと、売上は800万円稼いでいるにもかかわらず、赤字が200万円となっています。
このとき、黒字化を目指すには、以下の2つの方法が考えられます。

①売上を伸ばす
②費用を減らす

「どれだけ売上増やせばいいか分からない」、「費用を減らすには限界がある」と思う方も多いかもしれません。

①売上を伸ばすでは黒字化に必要な目標値を定める必要があります。これには達成までに時間がかかる場合があります。

②の費用を減らすでは、例えば、「商品の容器を安いものに変える」などにより、すぐに実行できることもあると思います。
しかし、あまりに無理な費用削減を行うと、商品やサービスの価値を下げることになり、売上に影響を及ぼす可能性があるため、実行するには慎重な検討を行う必要があります。

(3)具体的な目標の立て方

売上や費用の目標を立てるにあたり、先ほどの固定費、変動費の考え方が役に立ちます。

まず、変動費について、考え方を深めます。
変動費は、金額ではなく、「売上に対する割合(比率)」で考える必要があります。

上記の例だと、変動費が売上に占める割合(=変動費率)は、 500万円÷800万円 =62.5% となります。
これは、「売上1,000円に対して、費用が625円発生して、差額375円分が手元に残る」ことを意味します。

ここで、黒字化になるためには、この375円をいくら重ねたら、達成できるでしょうか?

答えは、「固定費分まで」になります。
下図のように、固定費を上回る部分(黄色)が、利益になります。
つまり、375円分手元に残る場合において、年間の固定費が500万円の時は、5,000,000円÷375円≒13,334個分の売上を獲得すればよいのです。
この時、必要な売上は、1,000円×13,334個=13,334,000円 となることが分かります。


上記では、①売上を伸ばす、の観点での説明でした。
これに、②費用を減らす、を実行すると、必要な売上を伸ばす金額を抑えることになり、黒字化へのゴールが近くなることが
分かると思います(この感覚はお分かりになるのではないでしょうか)。

この時、減らす費用についても、変動費か固定費を分けて考える必要があります。
変動費を減らす場合:売上に対して手元に残る分の金額が増える(大きくなる)」
固定費を減らす場合:黒字化に必要な手元に残る分の数が減る(少なくて済む)」


このことを理解したうえで、削減する費用が与える収益への効果を、優先順位を立てて考えることで、
黒字化の目標(売上の増加、費用の削減)を立てることに繋がるのです。

(4)当事務所でできること

中小企業診断士事務所Runaccでは、このような黒字化を目指す、もしくは利益を更に増やしていくために、
事業者様の個々の事情や事業特性に応じた課題の設定、目標達成に向けた伴走支援を行っています。

場合によっては設備投資を行い、生産性を高めたり、より高付加価値な商品を生み出すといったことも必要になるでしょう。
そのような場合の補助金、融資の活用についてもご支援させて頂くことが可能となっております。

まずは初回相談(1時間・無料・オンライン可)で承っておりますので、お気軽にご相談ください。

ご覧いただきありがとうございました。

代表 香月 勇人